「先日まで立てられていたのぼりってどうされたんですか?」と、私がある喫茶店のマスターに聞いたのは、これまでずっと立てられていたのぼりが、新しいものに取り替えられていたからです。そこで、以前まで立てられていたのぼりについてマスター聞いてみたところ、もう使い古してボロボロになってしまったために、もう捨てることに決めたとのことでした。私はこれに対してチャンスだと思い、それを譲っていただくことができないかと聞いたところ、首を傾げられながらも、それをいただくことができました。私は今、このようにして使い古されたのぼりを集めていて、それをどんどんコレクションにしていっています。もちろんこのマスターには、自分が今これを集めているということを説明し、きちんと納得していただいた上で、譲っていただくことに決まりました。
マスターには「こんなもの集めてどうするんだい?」と、笑われてしまったものの、私はこののぼりをいただけたことに大満足をしていました。というのも、私は今、こういったアンティークなのぼりを集めることに大いにはまっているからです。この喫茶店ののぼりには、「ホッと一息つきませんか?」というメッセージが書かれていたのですが、すでに「か?」の部分がはげてしまっていて、「ホッと一息つきません」という、全く違ったメッセージを持ったのぼりになってしまっていました。これこそ、この喫茶店が長年経営されていて、ずっとお客様から愛されてきているという証拠であり、とても味の出ているのぼりだと思います。
私はこういった味を感じることのできるのぼりに興味を持ち、このようにコレクションするようになったのです。喫茶店だけではなく、焼き立てのパン屋さんであれば、そのボロボロになってしまったのぼりから、パン屋さんではきっと毎朝早くからパンを焼いているオーナーさんの姿があるんだろうなと想像することができたり、学習塾ののぼりでは、きっとこれを見ながら勉強に励んでいる子供たちがいたんだろうなと思ったりと、のぼりから感じられることは無限大にあると思います。私自身、何らかのお店を経営しているわけではないため、こういったアンティークなのぼりを手に入れるには、それを立てられているお店の方々の協力が必要で、いらなくなったのぼりとはいえ、譲っていただけることに大いに感謝をしています。これからも自分のコレクションを増やし、たくさんののぼりに込められた思いを感じたいです。